バランス力は体を支える基本となる能力です。少し動いただけで関節が痛む、ちょっとした段差でつまずきやすくなった、などの症状を感じる方はバランス力が衰えてきているかもしれません。
加齢による筋力の低下に伴い、人間のバランス力は徐々に衰えていきます。若い方も運動習慣がないとバランス力が落ちてしまっている可能性があります。怪我のリスクを未然に防ぎ、健康な体を保つためにもバランス力を維持する運動は非常に重要です。
本記事ではバランス力に関する基礎知識と、おすすめのバランストレーニングを分かりやすく解説します。
【目次】
1.バランストレーニングが重要な理由
バランス力(バランス能力)とは
ケガを予防するのに重要
バランストレーニングで鍛えるべき筋肉
2.バランス力チェックテスト
3.初心者向け!バランストレーニング
片足立ち
カーフレイズ
ヒップリフト
4.慣れてきたらチャレンジ!バランストレーニング応用編
エアプレーン
フロントランジ
バードドッグ
5.グッズを使ったバランストレーニング
ストレッチポール
バランスボール
バランスボード・バランスパッド
6.まとめ
バランス力を鍛えるトレーニングは体の能力を維持するのに重要な役割を担っています。
そもそもバランス力とは、目や筋肉、三半規管など体のさまざまな場所から得た情報をもとに安定した姿勢を取るよう脳が中枢処理を行うための力を指します。
適切に情報を処理することによって、姿勢を維持したり、バランスを崩した際に素早く安定した姿勢に戻したりすることができるようになります。
バランス力が重要である最も大きな要因はケガ防止になることです。
例えばスポーツ選手は適切な姿勢を保つバランス力は競技で優位に立つための重要なボディコントロール能力の一つです。運動するうえで怪我を防止し、十分なパフォーマンスを発揮するのにバランス感覚は不可欠だと言えるでしょう。
普段の生活でもふらついたり転んだりしてケガしないためにバランス力が必要不可欠です。
バランス力を鍛えるには特定の筋肉ではなく、体を支える全身の筋力を鍛える必要があります。
特にインナーマッスルと腹筋背筋、下半身の大きな筋肉を鍛えるのがおすすめです。
バランス力が衰えている場合、無理に負荷の強いトレーニングを行うとかえってケガをしてしまう可能性が高まります。まずは以下の手順で自分のバランス力をチェックしてみましょう。
・肩幅程度に足を開き、両手を腰に当てて目を閉じる
・片方の足を上げて片足立ちになる
左右それぞれ測定し、良い方の記録を見ます。バランスを崩して転倒しないよう注意してください。
片足立ちチェックの結果 | バランス力のレベル |
5秒未満 | バランス力が非常に低い(転倒リスクがかなり高い) |
15秒未満 | バランス力がかなり低い(運動不安症のリスクが高い) |
30秒未満 | バランス力が低い |
30秒以上 | バランス力問題なし |
30秒未満の方はまず初心者向けの簡単なトレーニングから挑戦してみましょう。30秒以上の場合は健康的なリスクはありませんが、さらに鍛えることで身体能力を高めることができます。
※痛みや転倒の不安がある場合は無理せず医師などの専門家に相談してください
運動能力・バランス力に自信がない初心者向けのトレーニングを3つご紹介します。
・足を肩幅程度に開いて立つ
・片足を上げて1分間キープ
・ゆっくりと下ろし、反対の足を上げる
最初はテーブルや椅子を支えとして使います。体の動きに問題がない場合は支えにしているテーブルや椅子から手を離したり、膝を高く上げたりと徐々に負荷を上げていきましょう。
ふくらはぎの筋肉である腓腹筋を鍛え、バランス力・足首の安定性向上をもたらします。
・足を肩幅程度に開いて立つ
・かかとをゆっくり上げる
・かかとを上げ切ったらゆっくり下げる
膝を曲げないようにするのがポイントです。
両足で行うのに慣れたら、片足立ちで負荷を上げてみましょう。
お尻にある大臀筋を鍛えるトレーニングで、下半身の安定性を上げることができます。
・仰向けに寝転んで膝を90度に立て、足裏を床に付ける
・床からお尻を持ち上げ、肩から膝まで一直線になる位置で5秒キープする
・元の状態に戻す
負荷を上げたい場合はお尻を上げ下げする動作をゆっくり行うのがコツです。
上記の初心者向けトレーニングが問題なくできる方は少し負荷の高いトレーニングでバランス力を支える体幹をより強く鍛えましょう。
バランス力を養い、体幹をしっかり付けたい人におすすめのトレーニングをご紹介します。
片足立ちの応用編です。片足で体全体を支えるため、より強いバランス感覚が必要です。
・肩幅程度に足を開き、両手を地面と平行に広げる。親指は天井に向ける
・片足を後ろ方向に上げ、同時に上半身を前方向に下げる
・片足立ちの状態に戻す
横から見て「T」の文字に見えるよう、頭から足先を一直線にそろえるのがポイントです。
膝を少し曲げるとハムストリングスを同時に鍛えられるため、下半身のトレーニングにもなります。
下半身を重点的に鍛えるトレーニングです。
・足を肩幅より大きく前後に開く。手は腰に当てる
・上体をまっすぐにしたまま股関節とひざを曲げていく
・前ひざを90度まで曲げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
前にした足の太ももが床と平行になるところで止めます。膝がつま先より前に出ないように注意しましょう。
前にした足を軸にすると大腿四頭筋に、後ろにした足を軸にするとハムストリングスに効きやすくなります。
背筋、特に多裂筋と呼ばれる筋肉を鍛えます。姿勢維持に効果的なトレーニングです。
・四つん這いの状態になる
・右手と左足を持ち上げる
・10秒キープ
・元の姿勢に戻る
足の先から手の先までなるべくまっすぐになるように意識しましょう。おなかに力を入れるとインナーマッスルに大きな効果があります。
ここまでご紹介してきたように床や椅子を使った簡単なトレーニングでも十分にバランス力を鍛えることができますが、
ストレッチポールは筒状のローラーで、仰向けになって上に寝るだけで体の姿勢を整える効果があります。
応用的にストレッチポールを使ってトレーニングをすることで、より体に負荷をかけて効率よく体幹を鍛えられます。
ポールの上に足を乗せた状態でヒップリフトをするのがおすすめです。
不安定なバランスボールの上に座った状態でトレーニングを行うと、通常よりも強い体幹が必要とされます。バランスボールは器具なしのトレーニングでは鍛えにくい骨盤周りの筋肉やインナーマッスルを強化できるメリットがあります。
バランスボールに足を乗せた状態で行うヒップリフトのほか、プッシュアップ(腕立て伏せ)などもおすすめです。
バランスボードはボード上になったバランスボールで、持ち運びしやすくスペースを取らないのがメリットです。上に乗ったり座ったりすることで体幹が鍛えられ、スタイルアップや姿勢改善の効果が期待できます。
バランスボードは上に乗るだけでもかなりのバランス感覚を必要とするため、自信がない方には弾力性のない柔らかい素材でできたバランスパッドを使用するのがおすすめです。
バランス力は体の機能を保ち、普段の生活でケガを防ぐために必要不可欠な能力です。バランス力の衰えを感じる場合は、簡単なトレーニングから初めて徐々に体全体を支える力をつけていくのがおすすめです。
慣れてきた方はさらにトレーニングをすることで、体の安定性を高めてよりバランスの良い体に近づけることができます。一定のペースで続けてバランス力を維持・向上させるとよいでしょう。