体力の衰えや閉経に伴う身体の変化を実感することが多い50代。若いころは運動せずともある程度は健康・体形を維持できていたのが、歳を重ねるにつれてだんだん難しくなってきたと感じる方も多いのではないでしょうか?
体力面、精神面などさまざまな面に変化が出てくる50代こそ、運動習慣を身につけて健康な身体を手に入れるチャンスです。運動嫌いな方でもできる筋トレメニューからスタートして、健康でキレイな体を手に入れましょう。
【目次】
1.50代女性に筋トレが必要な理由
姿勢が悪くなる
不眠になりやすい
痩せにくくなる
生活習慣病になりやすい
2.50代女性が筋トレで鍛えるべき筋肉①大腿四頭筋
家でのおすすめ筋トレ:椅子で膝伸ばし
ジムでのおすすめ筋トレ:レッグプレス
3.50代女性が筋トレで鍛えるべき筋肉②脊柱起立筋
家でのおすすめ筋トレ:バックエクステンション
ジムでのおすすめ筋トレ:ワンハンドダンベルローイング
4.50代女性が筋トレで鍛えるべき筋肉③広背筋
家でのおすすめ筋トレ:リバーススノーエンジェル
ジムでのおすすめ筋トレ:ラットプルダウン
5.50代女性が筋トレで鍛えるべき筋肉④大臀筋
家でのおすすめ筋トレ:ヒップリフト
ジムでのおすすめ筋トレ:アブダクター
6.まとめ
50代女性は閉経に伴い女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少します。エストロゲン減少によって更年期症状が現れてくるため、身体にもさまざまな変化が出てくる時期でもあります。
50代で健康対策を行うべきなのはこれらの変化に対応する必要があるからです。いくつかの健康問題は筋トレによって改善しやすくなります。
加齢に伴い、姿勢を維持するための「抗重力筋」がだんだんと減衰します。
しゃっきりとした姿勢を保つ力がなくなって背筋が曲がると老けて見えるだけでなく、内臓の位置がずれて胃腸に不調が出ることも。姿勢を維持する筋力は今後自分で鍛えなければどんどん衰えていきます。
エストロゲンの急激な低下により自律神経が不安定になり、 「なかなか寝つけない」「夜中に汗をかいて目が覚める」「朝早く目覚めてしまう」「眠りが浅くて何度も目が覚める」などの症状が現れる場合があります。
これまで複数の研究で運動が睡眠の質を高める効果があることが証明されています。最近眠れない日が増えた、という方は筋トレを取り入れてみると改善するかもしれません。
脂肪の分解を助ける作用を持つエストロゲンが減少することに加え、加齢によって基礎代謝もどんどん低下していきます。それゆえ50代以降はどんどん痩せにくい体になると言われています。
筋力をつけることで基礎代謝が上がり、脂肪燃焼の効率がよくなっていきます。痩せにくさを感じる方はまず筋トレなどを通じて基礎代謝の向上を図るのが一番でしょう。
特に中高年で筋肉量が少ない人は血圧が高くなりやすい傾向にあります。高血圧になると脳梗塞や心筋梗塞などの生活習慣病を起こしやすくなってしまうため、予防もかねて運動を取り入れるのが重要だとされています。
筋肉が増えると体内の糖が消費されやすくなるため、筋トレは糖尿病予防にも有効です。
また、生活習慣病ではありませんがさらに年を重ねると認知症のリスクが上がっていきます。筋トレは脳の神経組織を活性化させたり、脳の血流を増やしたりして認知症のリスクを下げることが多くの研究で報告されているため、認知症が心配な方もぜひ運動を取り入れてみましょう。
ロコモやサルコペニアなど、加齢と筋肉量不足で起こる症状を未然に防ぐためにも、筋トレをはじめとした運動を今のうちから継続的に行っていくべきです。
加齢による体力減少が課題となる50代女性が特に鍛えるべきなのは「今後衰えやすい筋肉」です。実は筋肉の中でも加齢によって衰えやすい筋肉と衰えにくい筋肉があるため、体力をアップさせたい、若々しい体を保ちたいという方はこれから弱くなりやすい筋肉を重点的に鍛えると将来のリスクを軽減させることができます。
鍛えるべき筋肉としてまず一つ目に挙げられるのは大腿四頭筋。この筋肉は太ももの大きな筋肉で、50代以降衰えやすくなることが分かっています。
大腿四頭筋の衰えは変形性顎関節症という膝の痛みや歩行困難を引き起こす病気を招くことも。変形性膝関節症は50代以降で発症率が高まり、特に女性の発症率が高いのが特徴です。この病気を防ぐには、大腿四頭筋を鍛えて筋力を維持するのが大切です。
大腿四頭筋を鍛えることで下半身全体を安定させ、体全体の力を維持することにつながります。
膝伸ばしの運動は座りながら簡単にでき、楽な姿勢で大腿四頭筋を鍛えることができます。負荷も比較的低いため、筋力に自信がない初心者におすすめです。
・椅子に座って足を肩幅に開く
・ゆっくり膝を伸ばす
・伸ばし切ったらゆっくり伸ばす
→左右10セット×3回
ケガ防止のために膝とつま先をまっすぐ向けるようにしましょう。
普段運動していない方にとってジムでの運動は一見ハードルが高いように思うかもしれませんが、自分で負荷を調節できるため意外と初心者にも最適な手段です。
・マシンに座り、足をプレートの中央に置いた状態で膝が直角になるようシートを調整
・バーを握ってゆっくり膝を伸ばす
・膝を伸ばしきる直前の状態で止まり、ゆっくり元に戻す
→10~15回×1~3セット
膝を伸ばしながら息を吸い、曲げながら息を吐くよう意識してください。
脊柱起立筋は首から腰を支える筋肉です。脊柱起立筋はきれいな姿勢を保つのに大きな役割を果たしています。
年を重ねるとこの脊柱起立筋が弱くなり、これが姿勢悪化の大きな一因となります。若々しい姿勢を維持したい方は今のうちから積極的に鍛えておくとよいでしょう。
・うつ伏せになって両手を肩の下に置く
・息を吸いながら上半身を起こし、両足を床から浮かせる
・そのままの状態で3~5秒キープ
・息を吐きながら上半身と足を最初の状態に戻す
→10回×3セット
反動をつけないよう、ゆっくり背筋を使って起き上がることを意識しましょう。
・片手でダンベルを持って、反対の手と膝~すねをベンチに置く
・ダンベルを持っている手を地面に向けて下ろす
・ダンベルを太ももの付け根くらいまで持ってくる
背筋をまっすぐ伸ばす意識で、少し後ろに弧を描くようなイメージでダンベルを持ち上げましょう。
広背筋は背中にある大きな筋力で、鍛えることで代謝がよくなり脂肪燃焼の効率がアップします。また、姿勢改善の効果もあります。
広背筋を含む抗重力筋が衰えると立ち上がりや歩行が億劫になり、放置すると歩行困難になることもあります。骨格筋の量が低下し、筋力や身体機能が低下したサルコペニアと呼ばれる症状になることもあるため、これらのリスクを予防するには抗重力筋を鍛える必要があります
また、広背筋は大きい筋肉なので基礎代謝向上によるダイエット効果と姿勢改善効果も期待できます。
・うつ伏せの状態で手のひらを下にして、少し床から離す
・胸を引き上げて両手を後ろに回す
・半円を描くイメージで両手を頭上へゆっくりと上げる
・元に戻す
→15回×3セット
・肩幅より少し広いくらいの位置でグリップを握ってシートに座る
・胸を張って肩を外旋させつつ、バーを胸に向かって引き寄せる
・胸に着く程度まで引きつけたら元に戻す
・肘が伸び切ったら、再度バーを胸に引き寄せる
→10~15回×1~3セット
大臀筋はおしりの大きな筋肉です。立ち上がる、歩く、走るなど日常生活の動きの中で重要な役割を果たしていますが、加齢によって衰えやすいため重点的に鍛えるべき筋肉の一つです。
大臀筋は人間の体で最も大きな単体の筋肉なので、鍛えることで効果的な基礎代謝アップも期待できます。
また、キレイなヒップラインを形作るのも大臀筋の役割です。お尻のラインをきゅっと引き締めたいという方は大臀筋を鍛えてみましょう。
・仰向けに寝転んで膝を90度に立て、足裏を床に付ける
・床からお尻を持ち上げ、肩から膝まで一直線になる位置で5秒キープする
・元の状態に戻す
→10~20回×3セット
負荷を上げたい場合はお尻を上げ下げする動作をゆっくり行うのがコツです。
参考:フィットネスジム レスポ
脚を広げる動作を繰り返すことでお尻を鍛える器具です。
自分の筋力に合わせて重量を調整し、効率的に下半身を引き締められます。
・背中と肩をシートにつける
・ゆっくりパッドを広げる
・元に戻す
背中と肩がシートについた状態をキープしましょう。
50代からは健康維持の対策が重要。特に老化によって衰えやすい筋肉を重点的に鍛えることで、いつまでも若々しく健康的な体・スタイルを保つことができます。
普段運動する習慣がない方はまず宅トレでコツコツ筋トレする習慣をつけるか、ジムでトレーナーにアドバイスをもらいながら自分に合ったメニューで鍛えることをおすすめします。